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映画「ガス燈」主役から脇役まで名演技は一見の価値あり [映画]

NHKのBS-2で、超古い名画、アカデミー賞を取った洋画を特集している。
その中で、「ガス燈」という映画を、やっていたので、見た。
この映画で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したのは、イングリッド・バーグマンだ。
私は、バーグマンのことは、よく知らないし、この女優の映画を見るのは、
生まれて、初めてだった。

バーグマンは、噂どおりの美人だった。欧米人の美人タイプ。
私から見れば、グラマーだけど、骨格がゴツくて、あまり、趣味じゃない。
まあ、そんなことは、どうでもいい。

単純な恋愛映画なのかな、と思ったら、全然、違って、むしろ、ミステリー映画だった。
ストーリーは、今から見れば、陳腐で、宝石の魅力に狂った男が、破滅していく話だ。
ただ、その狂い方が、尋常でなく、ちょっと、寒気がしたのだった。

バーグマンが演じたのは、有名なオペラ歌手アリスの姪・ポーラという、
若い女性だった。ロンドンのソントン街に住むアリスは、何者かに、
絞殺されてしまった、というのが、映画の始まりだった。

ショックを受けたポーラは、この事件を忘れるために、イタリアへ、
声楽の勉強に、留学するのだった。そのイタリアで、ポーラは、
作曲家・アントン(シャルル・ボワイエ)と恋仲になり、声楽の勉強どころでは、
なくなっていく。元々、ポーラは、叔母のアリスみたいな、素晴らしいオペラ歌手に
なれるなんて、思っていなかった。

ポーラは、アントンと結婚する道を選ぶのだが、どういう訳か、
叔母の殺人事件があった、ソントン広場の叔母の家に住むことになる。
そして、そこで、ポーラは、とても、怖い経験をすることになる。

そのキッカケは、セルギス・バウワーが書いた書簡を、アントンに見せてからだ。
このとき、アントンは、ポーラに激高して、この書簡に、なにか、問題があることを、
見ている私に、教えることになるのだった。
でも、私は、どんな話になるのか、皆目、見当がつかなかった。

最初の疑惑は、アントンが、祖母の代から伝わる、カメオのブローチを、
ポーラにプレゼントするのだが、ポーラは、それを紛失してしまう。
でも、私には、紛失したとは思えず、なんか、夫のアントンが怪しいな、
と、考え始めたのだった。その理由は、分からなかったけど。

夫が、夜、仕事だと言って、仕事場に外出すると、家にいるポーラには、
不思議な出来事が、降りかかってくる。それは、室内のガス燈の炎が
小さくなり、変な物音が、天井から聞こえてくるのだった。
うーん、それで、「ガス燈」と、映画の題名にしたのか・・・・・・

この不思議な出来事を、アリスの絞殺事件と関連づけて、捜査していった
ロンドン警察のブライアン(ジョゼフ・コットン)が、とても、カッコイイ。
アントン役のボワイエは、小男で、ちょっと、カッコ悪いぜ。

けっこう、単純なストーリーのこの映画を、退屈せずに、見られたのは、
バーグマンや、ボワイエ、コットンの演技が、優れていたばかりでなく、
料理人のおばあさんを演じたベテラン女優や、メイドを演じた若手女優の
演技も、良かったからだ。

バーグマンは、最初は、美人で明るい若妻を演じて、それが、いろんな
恐怖にあって、やつれていく過程を、リアルに演じていた。

とりわけ、私が、凄いと思ったのは、最後の方で、また、騙されて、
放心状態のポーラを演じたかと思えば、急に、気丈になって、
ナイフを持ったりして、夫を、見放していく、という、気持ちの変化を、
実に、上手に、表現できていたことだ。

私から見れば、ポーラという女性は、あまりにも、純情で、人を疑うことを
知らない、世間知らずの女性に見える。でも、64年も前の映画なので、
当時の裕福な家庭の妻は、皆、あんなのだったのだろう。
そういう意味で、この映画は、ポーラのような、自立していない女性に
なってはいけない、ということを、言いたかったのかもしれない、と、思う。

アントンは、宝石に眼がくらんだ、という一点に尽きるが、そのためならば、
どんな卑劣なことでもやってしまう、という意味で、金権主義の輩に違いない。
そういう連中への批判も込めているのが、この映画だ。
現代日本でも、お金に眼がくらんだ、愚かな人々が、卑劣なことをやっている。

この映画は、夫婦の絆が、どうあるべきか、ということも、示唆していて、
実に、興味深かった。夫でも、妻でも、自分自身がつかんだ、事実に、
自信を持つことが、ともかく、重要だ。相手が、何を言おうとも。

そして、真実は、常に、具体的だ。
どんなに、美辞麗句や、言い訳を、並べ立てても、何をやっているか、
どんな行動をしているかが、重要だ。そこに、真実がある。



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