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映画「エンジェル・アイズ」運命の必然の結びつきに人生の普遍性をみた [映画]

レンタル屋のお薦めで、「エンジェル・アイズ」という、ちょっと、
古い映画を借りてみた。2002年10月公開の、アメリカ映画だ。

この映画は、人生の未熟な経験者には、まず、理解できないだろう。
いろんな恋愛を経験したことがない人にも、わからないと、思う。

いろんな意味で、私は、良く出来た映画だと思うけど、未熟者には、
そこが理解できず、この映画の評価も、賛否両論のような気がする。
ちょうど、映画「ジョゼと虎と魚たち」が、未熟者には、理解できないように。

この映画は、運命の巡り会いはあるか、と、問題提起している。
運命の巡り会いを、経験している、私は、当然、あると思う。
でも、そういう経験の無い人は、そんなの絵空事と、断言するかもしれない。
経験しないと、理解できないことって、たくさん、ある。

主演の二人、ジェファニー・ロペスと、ジム・カヴィーゼルの眼は、素敵だ。
まさに、「エンジェル・アイズ」という映画の、題名に、相応しい。
そして、この二人の演技の、素晴らしいことったら、ないぜ!!

ジェファニーが演じた、シャロンという女警官は、ともかく、たくましい、
タフな警官だ。そんな力強さを、ジェファニーは、いとも、簡単に、
らしく、演じていた。収録されていたインタビューを聞くと、
この役作りには、苦労したらしい。

これだけだと、ただの、男勝りの女警官か、となってしまうが、ジェファニーが
凄いのは、微妙な恋愛の揺れる女心とか、排除されてしまった、自分の家庭に
対する、複雑な心の動きも、ちゃんと、表現できていることだ。
ジェファニーのこの演技が無ければ、この映画は、面白くなかっただろう。

交通事故で、一瞬にして、妻と幼い息子を失った、通称・キャッチ
(本名はスティーブ)を演じたジムも、とても、良かった。そういう陰のある
キャッチの雰囲気を120%出していたし、徐々に、シャロンを好きに
なっていく過程の心理描写も、出色の出来だった。

凄く不思議に思えたのは、自分の心を開放できず、デートが苦手な
シャロンが、同様に、自分の過去に触れられたくないキャッチに、
なぜか、自分の心を、開いていくことだ。

それは、キャッチに自分の姿を見たからなのか? それとも、
キャッチの「エンジェル・アイズ」を深層で覚えていて、それに、
魅せられてしまったからなのか??

この映画は、「こだわり」は、人生を、不幸にする、と、いっている。
まず、判りやすいのは、キャッチで、死んでしまった妻子に、いつまでも、
こだわるのは、自分を、不幸にするだけだ。
新しい愛を見つけ、新しい家庭を築くことでしか、
キャッチは、癒されない。

それは、シャロンも、同じだと思う。
シャロンと、その父親に、何があったのか、それは、この映画では、
間接的にしか、説明されなかったけど、折角、会いに行った父親が、
娘はもういない、なんて、本人に言う、ひどい人間だったとは、
あきれて、私は、言う言葉も無い。

まあ、日本でも、こういう、子供に条件をつけて、その条件を満たさなければ、
自分の子供じゃない、なんて、言い放つ、愚かな親が、多いことは、確かだ。

そんな父親と、その父親を庇護する家族に、シャロンは、こだわる必要は
なかったのだ。むしろ、シャロンのほうが、父親とその家族はもうない、
と見切りをつけて、未来に向かって、生きていくべきだったのだ。
シャロンも、新しい愛を見つけ、新しい家庭を築くことでしか、
癒されないのだ。

新しい愛を見つけ、新しい家庭を築くことでしか、癒されない、
シャロンと、キャッチが、恋に落ちていくのは、必然だった。

シャロンと、キャッチが、愛し合うシーンは、とても、美しい。
それに、見とれてしまった私は、こういうシーンが、邦画には、
少ないなあ、と、しみじみ、思った。

インタビューで、ジムは、深い付き合いに臆病になったキャッチは、
見知らぬ人に、親切にして、心のバランスを保っている、と、
分析してみせたが、全く、その通りで、よく理解できる意見だ。

そういう観点で、シャロンを見ると、キャッチと同様に、
家族から見放されたことに対して、警官の仕事に励むことによって、
やはり、心のバランスを、保ってきた、と、言えるんじゃないか、
と、思った。
ここでも、シャロンと、キャッチの、共通点が、ある。

いろんな意味で、出会いは偶然だったけど、結びつくのは、
必然だった、シャロンとキャッチ。

ジムが、インタビューで、この映画のキャラクターには、
普遍性があると、指摘していたが、私は、キャラクターだけじゃなくて、
この映画の出来事、すべてに、普遍性がある、いい映画だ、と、思った。






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