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「死ぬんじゃない!~実録ドラマ・宮本警部が遺したもの~」 [TV]

ちょうど、1年前、交番の警官が、自殺目的の女性を救おうと、踏み切りに入り、
亡くなったという事件があった。そのことを、フジTVが、ドラマ化する
という話を聞いて、思い出した。でも、TVドラマなので、その警官を英雄視する
ようなドラマなら、見たくないな、と、思っていた。

そんな、消極的なスタンスながら、なんとなく、私は、このドラマを見始めていた。
そして、見終わったとき、このTVドラマは、脚色がかなり少ない、真正の
ドキュメンタリードラマだということを、理解した。

このドキュメンタリードラマを見て、私は、驚いたり、教えられたりした。
そして、いろいろ、考えさせられた。

宮本警部は、交番のお巡りさんという、仕事を100%分かってやっていたんだな、
ということが、痛いほど、私には、分かった。自分の使命を分かっていた人だ。
しかも、それを、日夜、実践していた。偉い人だね。

最近、交番で、巡査が拳銃自殺したり、違法行為があった、新興宗教に、
便宜を図っていた県警幹部がいたり、わいせつ行為をする警官がいたり、と、
警察に対する不信が、ますます、広がっている。
そういう警察関係者は、自分の任務、使命が、全然、分かっていないのだ!!!

宮本警部が、入院して、生死の境を彷徨っている時、勤務していた交番には、
手紙や、花束や、千羽鶴が、置き場もないほど、届けられたという。
「笛のおまわりさん」、「宮本さんというおまわりさん」として、地域の人々に
ひろく親しまれていた、宮本警部。こんな警官が、他に、いるだろうか???

特に、小学生や、中学生・高校生にも、人気があった、宮本警部。
子供は、純真で、本質を見抜く。宮本さんの優しさを、分かっていたんだね。
近くの小学校で、全生徒が千羽鶴を折っているシーンでは、さすがに、ジーンときた。

宮本警部の家族は、仕事とはいえ、そんなことまでして、死ななくてもいいのに、と、
本気で思ったことだろう。そういうところが、このドラマは、正直に、描写されていて、
そこは、とても、いいと思った。家族は、そう思って、当然だよ。

ただ、私は、宮本警部が、命を捨てて、自殺願望の女性の命を救った、と、
特別扱いするのには、かなり、違和感を感じた。

宮本警部の家族は、日頃から、宮本警部が、命の大切さを強調していたのに、
自ら、死んでしまうなんて、と、その矛盾を、思ったり、発言したりしていた。
宮本警部の同僚や後輩も、同様の矛盾を、不思議がったりしていた。

私は、違うんじゃないか、と、思った。
宮本警部は、自殺しようとした女性を助けて、自分も助かろうとしたのでは、
ないかと思った。そこは、運命の分かれ道で、運悪く、宮本警部は、逃げるのが遅れ、
電車に、はねられてしまったのだと、思う。

自分の命を捨ててまで、警官という職務を遂行し、一人の女性を助けたことは、
結果として、凄いと思うし、偉いと思う。しかし、だからといって、
自分の命を捨てる、人命救助が、推奨されていいはずがない。

まずは、世間を騒がせ、他人に迷惑をかけるような自殺行為を、絶対に、
やめるべきだ。このドラマでは、そういうメッセージが、弱いように、感じた。
あの女性が、踏み切りに、立ち入らなければ、宮本警部は、死ぬことが
無かったということを、みんなで、ちゃんと、認識する必要がある。

周囲に誰もいなければ、宮本警部の死への展開は、他に手は無かったかもしれない。
しかし、当時、踏み切り近辺には、見物人がいたんじゃないかと、思う。
その人たちは、いったい、何をしていたんだろう???

踏み切りのそばには、電車緊急停止ボタンが、なかったんだろうか???
そういうボタンが、無かったとは思えないので、なぜ、誰かが、押さなかったんだろう???
何か、試みた人がいたなら、そういうことを、このドラマに、盛り込んで、ほしかった。
もちろん、咄嗟のことで、皆が、機転が、利かなかったのかもしれない。

でも、また、こういうことがあるかもしれないので、そういう現場に
遭遇したら、自分は何をするべきか、シミュレーションをしておいた方がいい。
人間は、サルじゃないんで、不幸にも起きてしまった惨事から、
教訓を学び、次に、生かさなければ、いけない。

このドキュメンタリードラマは、宮本警部の、勇敢な行動を、賛美するだけで、
どうしたらよかったのか、という考察も無く、今後の対策もないまま、
終わってしまった、皮相的な、物足りない、TVドラマだったと、
私は、言わざるを得ない。




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